血便

血便とは

血便血便は、便が消化管を通って排出されるまでのどこかで出血があり、便に血が混じっている状態です。見た目には血液が混じっているとはわからないケースも含まれます。また、便自体には血が混じっていなくても、排便後にペーパーで拭いた際に血が付いてくる場合も血便とされます。血便があったら、出血がどこで起こっているのかを確かめることが必要です。その上で、それが病気などによるものかどうかを確認し、適切な治療を行います。

血便から考えられる疾患

いぼ痔・切れ痔

いぼ痔や切れ痔は、排便のいきみなどによるうっ血によって肛門や周辺組織、直腸粘膜が傷付いて発症します。

血便の状態

排便時や排便後に真っ赤な血が出る。

特徴

痔による血便は、便の表面に少量の血が付着している、排便後に血がポタポタ便器に落ちる、肛門から噴射するように出血する、排便後拭いたペーパーに血が付着するなどがあります。

胃潰瘍

胃潰瘍では、胃粘膜が強い胃酸と胃の消化酵素によって傷付いて一部が欠けてしまい、出血を起こします。原因としては、ピロリ菌感染、ストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などがあり、これによって傷付いた胃粘膜が胃酸や消化酵素によって自己消化を起こして深く傷付き、潰瘍になっています。

血便の状態

胃で起こった出血が、十二指腸、小腸、大腸と経てくるため、血便でも赤くなく、便がコールタールのように黒っぽくなります。

血便以外の症状

みぞおち周辺が食事後にシクシク痛むことがあります。また胃潰瘍が進行すると吐血することもあります。

十二指腸潰瘍

十二指腸の粘膜が強い胃酸と胃の消化酵素によって大きく傷付き、粘膜の一部が欠けてしまっている状態です。原因となるのはピロリ菌感染、ストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などによる十二指腸粘膜への傷で、そこに胃酸や消化酵素による自己消化が起こって深い傷となり潰瘍になります。

血便の状態

黒っぽいタール便が出ます。

血便以外の症状

胃酸の分泌が活発な若い世代に多い傾向があります。空腹時の夜間や早朝などに持続的な腹痛を起こすなどの症状を起こします。

潰瘍性大腸炎

大腸粘膜に潰瘍やただれができる慢性の炎症疾患で、症状がなくなったり再燃したりを繰り返します。近年、患者数が増えており、根本的な治療法がないため難病指定されています。ただし炎症を抑える薬で症状を鎮めることができるため、適切な治療をできるだけ早く受けることが重要です。20歳代の若い世代に多い傾向があり、症状が治まっている間も治療を続けることで悪化を防ぐことが可能です。

血便の状態

粘血便の下痢が多くなっています。

血便以外の症状

重症化すると発熱や強い腹痛を生じます。緊急手術や長期入院が必要になるケースもあり、放棄診断と治療の継続が重要な疾患です。

大腸ポリープ

大腸の粘膜に隆起性のイボのようなものができる疾患です。ポリープ自体は良性でも大きくなるとがん化する可能性がありますが、発見した時点で切除することで将来の大腸がん予防になります。ポリープはかなり大きくなるまで症状に乏しく、大きくなると便の通過によって出血を起こすことがあります。

大腸がん

排便後の出血は痔と勘違いされやすいのですが、大腸がんでもこうした症状が起こることがあります。またやわらかい便が通過する場所に大腸がんができてしまった場合は、進行しても血便という症状が出ないことがあり、便潜血検査でも陰性になってしまうことがあります。進行すると腹部の痛み、しこり、便が細くなる、下痢や便秘などの便通異常といった症状が現れることが多くなっています。

血便を予防するには

定期的に内視鏡検査を受けましょう

定期的に内視鏡検査を受けましょう大腸がんは早期発見と適切な治療により治癒が可能ですが、かなり進行しないと自覚症状として現れません。早期発見のためには、症状が特になくても定期的に大腸カメラ検査を受ける必要があります。大腸カメラ検査の際に、がん化する可能性がある前がん病変の大腸ポリープを切除することで将来の大腸がん予防にもつながります。また、胃カメラと大腸カメラ検査は同日に受けることができます。炎症や潰瘍、びらんなどの有無を確認できるほか、疑わしい病変の組織採取、大腸ポリープ切除の日帰り手術、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となるピロリ菌感染の有無も確認できます。定期的に胃と大腸の内視鏡検査を受けて、早期発見と適切な治療・予防につなげましょう。

ピロリ菌の除菌

ピロリピロリ菌は抗生剤と胃酸の分泌を抑える薬を服用することで除菌可能です。ピロリ菌の除菌治療に成功することで、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発を抑え、さらには胃がんの予防効果も認められています。

血便の治療について

軽度のいぼ痔や一過性の裂肛(慢性化していない切れ痔)などは、保存的療法で比較的治しやすいと言えます。そうでない場合には、状態や病気に合わせた適切な治療を行って症状を改善させていきます。きちんとご説明し、納得いただいてから治療を行っていますので、安心してご来院ください。