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2021.06.04

ドタキャン

 そろそろ神奈川も梅雨入りになりそうですが、気圧の変化で体調を崩しやすくなります。日照時間が短いので天気の良い日に洗濯物や布団を干す、しっかりと体を動かすといった工夫でなんとかこの鬱屈とした時期を乗り越えたいところですが、今回もまたネガティブなブログになってしまいます。

  5月末より自衛隊による大規模接種が始まりましたが、なんと1週間で7000件も超えるキャンセルが有り、当日キャンセルは3000件以上になったようです。理由は体調不良以上に2重予約が多かったようです。このことについて防衛省は、今後ある程度のキャンセルを見込んで更に予約システムを改善すると謝罪しておりました。

  一体なぜ防衛省が謝罪しなければならないのか不思議でなりません。自衛隊は有事の際に無くてはならない組織ですが、今回のことで改めて自衛隊の存在を考えさせられました。このようなデリケートな問題になるべく触れないのが無難といった風潮ではありますが、今回は少し私見を述べたいと思います。

  現在自衛隊は事実上、日本の軍事組織で国際的にも軍隊として認められております。ただ憲法9条では、「戦争の放棄」「戦力不保持」「交戦権の否認」が記されており、よって平和憲法でいうと自衛隊は違憲であるといった構図になります。もちろん憲法学者ではないので、理論的な意見は述べませんが、自衛隊が震災や大きな災害で救助活動を続けているのは元より、日に何回も行われる他国からの侵犯を24時間体制でスクランブル対応しているのも事実です。今この瞬間もその体制は変わりません。政府がその自衛隊にワクチン接種を依頼するのは、コロナウイルスのまん延が甚大な災害で有事にあたると判断したからです。自衛隊はまだその感染力が未知であったダイヤモンドプリンセス号の際も効率的に勇敢に対応し、なんと感染者を出しておりません。また、現在も大規模なクラスター発生は報告されておりません。そのような職務を粛々と遂行している組織が、大規模接種で発生したキャンセルで非難を受けるなど、もはや開いた口が塞がりません。もちろん非難をしているのは、言わずもがな、ワイドショーを中心としたマスコミです。遂行している任務が正当であるのに、いかなる理由であれキャンセルをする人々が非難してはなりません。理論的に間違っております。

  この土壇場キャンセルは、ワクチン接種の計画をせず、付け焼き刃的な方法で行っているため、国民が慌てふためいているのもありますが、マスコミがそれを煽っているのも影響しております。ネットでは、数多く予約し一番早いところで接種を受けた方が良い、当日キャンセルも止むなしという記事が多数見られます。そのため、一旦溶解したワクチンをキャンセル待ちの方に連絡したり、一部では職員や関係者に無駄にならないよう臨時で接種したりしております。ただ、その関係者に接種するのもマスコミは非難しておりますが。

  当院でもなるべく多くの方に接種してもらいたく、かかりつけでなくても予約を受け付けておりますが、まさにこの問題に直面しております。また、その他手術や内視鏡のドタキャンも多くなり、それに対処しなければいけいない医療以外の業務が重なり、また患者様からの心ないクレームも受けなければならず、モチベーションが下がってきております。

  ただし、我々クリニックのスタッフは、医療のスペシャリストとして医療の質は変えず踏みとどまろうと日々精進しており、それが誇りでもあります。

  今回画像は省略いたします。少しでもこの状態が良くなるよう、期待したいと思います。